マンションに引っ越してから2ヶ月となりました。20年ほど前、この県都の学校町に住んでいた時、隣に80歳の女性が一人でやっている床屋がありました。 客の大部分は老人でしたが、それでも60代の方々でした。つまり、女性理髪師の子供の年齢でした。今もその場所を通るとカーテンがかかっています。10年 以上前に営業は止めたのでしょう。
老人となって、足が不自由になっていくと床屋へも出かけていけなくなります。その学校町の理髪店の女主人は自分 より若い足の不自由な老人の家によく出かけて散髪をしたと言っていました。現在、県都で老人のために家まで来てくれる理髪師は少なくなっているのでしょ う。中々探せませんでした。
母は3ヶ月以上散髪していませんでしたので、首筋が気持ちが悪いし、暑すぎると不平を言います。まあ、当然ですね。昨 夜、「じゃあ、俺が切ってやるよ」と言いましたら、「それはいい」と目を輝かせていました。本日は休みなので8時ぐらいまでゆっくり寝ているつもりでし た。休みの前の日には午前2,3時まで本を読むのが習慣なのです。
母は6時に私を起こして、「さっさと髪を切ってくれ」というのです。私は朝から 髪は切りたくないし、ハサミもないので、「午後にはホームセンターで理髪道具を買うから」といったのですが、いつに無く私の言う事を聞きません。まあ、そ れだけ嫌だったんだとわかりました。ハサミはもう50年以上使用している母のラシャキリハサミを使用することにしました。実際、切り出したら、その切れ味 のよさにはびっくりしました。母はおかっぱのようになったのですが、妙に似合っていました。襟足は私の髭剃りで綺麗にしてやりました。それから、母は風呂 で髪をあらってすっきりとした顔で「今度はこの方法でお願いします」だって。
まあ、よろこんでもらえるのですから、私も技術サービス料として2,000円でも頂戴して理髪師となる交渉することにしました。